脳神経外科
診療内容
診療の対象

当科で診療と対象としている患者さんの多くは、頭痛、半身の運動麻痺、しびれのような感覚障害、めまいなどを呈しております。脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫などの患者さんが該当します。重篤な症状で、緊急手術を要する患者さんの受け入れは、諸般の事情から困難ですので、対応可能な病院をご紹介させていただいております。

また、もの忘れ(認知症)の診察、治療も行っています。この際、物忘れを起こしている治療すべき病変(脳腫瘍、血腫、水頭症など)が隠されていないかどうかを、見逃さないようにしております。

診察について

正確な診断のために初回はご本人と、ご本人をよく知る人(ご家族など)からゆっくりお話をお伺いします。また、諸検査に時間がかかるため、原則的に診察は最低2回に分けて行います。

診断とその後について

診断の結果をもとに、今後の治療方針について、ご本人とご家族のみなさんと、十分に話し合いをします。どうしたらより良い生活を送ることができるのか、医療、介護、社会制度など、多くの視点から考え、生活の改善や介護への橋渡しを行います。また、多くの場合、認知症は診断後も病状の進行や変化がみられますので、その後も継続的な診察を行っていきます。

脳神経外科であることを生かして

脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)は診断の過程で偶然見つかったり、また認知症の原因そのものであったりすることもしばしばです。当院では脳MRI, CTなどを用いて脳神経外科の視点から、診察をすすめていきます。

脳神経外科の外来診療
  • 毎週(月)(水) 午前 9:00 ~ 12:00 午後 13:30 ~ 17:00

頭痛、片麻痺、呂律障害、もの忘れなど、いつもとは異なる、気になる症状が見られたら、頭蓋内のいろんな病気の可能性がありますので、お早めに、脳神経外科の外来を受診して下さい。診察と画像検査(CT、MRI検査、頸動脈エコーなど)で診断し、治療方針を決定します。

‟物忘れ"が気になり始めた方とご家族の方々へ
"物忘れ"、頭痛、めまい、手足のしびれ、脱力、呂律・嚥下障害などのある方は、早めに、脳神経外科を受診して下さい。各疾患の代表例を示しました。これらを参考にして、似たような症状のある方は、脳の画像検査(MRIやCTなど苦痛を伴わない検査)を受け、以下に示すような病気の有無を確認して、今後の治療方針について、相談いたしましょう。

1)「"物忘れ"が症状の主体である病気」 

①アルツハイマー型認知症

MRI:健常者に比べて、記憶の脳である海馬の萎縮が強い(図I、○で囲まれた部分)。認知症テストで低下が見られる。投薬治療と生活習慣の指導(運動、脳トレなど)が必要。手術で治す病気(脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、水頭症など)は見られない。

図1_アルツハイマー型認知症.jpg
(図Ⅰ)アルツハイマー型認知症

2)「"物忘れ"の有無に関わらず、下記のような症状を伴い、脳神経外科手術を必要とする病気」

①脳腫瘍 ②慢性硬膜下血腫 ③正常圧水頭症
頭痛と右下肢の麻痺で来院。大脳を圧迫する脳腫瘍、造影MRIで増強効果あり。全摘術施行。髄膜腫と診断(図II-a)。症状の改善を認めた。 頭部外傷から、1ヶ月後に頭痛、片麻痺が出現。症状は進行性で、物忘れも強くなり来院。術前のMRI:慢性の硬膜下血腫が脳を圧排していた (図II-b) 。頭蓋骨に穿頭術を施行,障害残さず退院。現職に復帰した。 脳脊髄液の循環が障害されている病気。精神症状、物忘れ、尿失禁、歩行障害などで来院。MRI:脳室で産生される髄液の貯留により脳室の拡大が著明(図III)。脳室腹腔短絡術で劇的に症状改善。アルツハイマー型認知症とは違い、抗認知症剤の服用は不要。手術で治る病気。
図Ⅱa_脳腫瘍髄膜腫.jpg 図Ⅱb_慢性硬膜下血腫.jpg 図Ⅲ_正常圧水頭症.jpg
(図Ⅱ-a)脳腫瘍, 髄膜腫 (図Ⅱ-b)慢性硬膜下血腫 (図Ⅲ)正常圧水頭症

3)その他

脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の診察、検査も施行しています。診断は可能ですが、手術が必要な患者様には、救急患者への対応が可能な施設にご紹介させていただいております。

脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血 (図IV) CT, 脳血管撮影。再破裂を防ぐためクリッピング手術が必要。

急性期の脳梗塞(図V) CT,MRI,MRA 急性期の脳出血(図VI)
図Ⅳ_脳血管写脳動脈瘤.jpg 図Ⅴ_MRICTMRA.jpg 図Ⅵ_CT高血圧性脳出血.jpg

(図IV)
脳血管写:脳動脈瘤(丸い膨らみ)
CTクモ下出血(脳溝の白い部分)

(図V)
CT(上段左、脳梗塞は不明瞭)
MRI(上段右, 脳梗塞は白く描出)
MRA(下段、動脈閉塞部)
(図VI)
CT:高血圧性脳出血(右被殻出血)
もの忘れ外来の診察を希望される方

当日はなるべく家族や親類の方などご本人の日常生活をよく知る人が同伴してください。

認知症チェックシート

• □ 同じことを何度も言ったり、聞いたりするようになった
• □ 知っている人や物の名前が出てこなくなった
• □ 財布やメガネなど大切なものを置き忘れたりなくしたりする
• □ 曜日や日付を何度も確認する
• □ 薬の飲み忘れが多くなった
• □ ささいなことで、怒りっぽくなった
• □ 趣味や好きなテレビ番組に興味がなくなった
• □ 身だしなみに気を付けなくなった
• □ 慣れた場所で道に迷った
• □ ひとりでいるのが不安で落ち着かなくなった
• □ 財布などを盗まれたというようになった
• □ テレビのリモコンや洗濯機などの操作がうまくできなくなった
• □ 外出など面倒になり家にいることが多くなった
• □ 鍋などを火にかけたまま忘れるようになった

該当する項目にチェック(✔︎)して、こちらを受診時にご持参いただけると診療がスムーズになります。物忘れが主たる症状ですが、日常生活にほとんど影響なく、認知症とは診断できない状態を軽度認知機能障害(MCI)と言います。この時期から専門医と連携して認知機能の低下に一定の歯止めを掛けることが大切です。認知症は早期診断・早期治療が大切です。気になる症状がございましたらお早めにご相談ください。

脳疾患に伴う頭痛の診察を希望される方(2次性頭痛)

頭痛の原因となる病変が治療の対象となります。

  • くも膜下出血、脳出血などでは、急激に激しい頭痛が起こり、生命にかかわることがある為、注意が必要。脳動脈瘤など出血の原因の治療が必要となる。
  • 徐々に頭痛がひどくなり、麻痺など脳の症状をともなってくるタイプ。脳腫瘍や慢性硬膜下血腫では手術が必要になる。


突然襲われる強い頭痛はもちろんのこと、安静にしていても治まらない、あるいは繰り返し起こる頭痛が徐々にひどくなるような場合など、「いつもの頭痛と違うな」と思った場合には、必ず医師の診察を受けてください。
また、市販の鎮痛薬を服用しても一向に改善しない、あるいは鎮痛薬を飲む回数や量が増えてきた場合には、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)という頭痛の可能性もあります。いずれの場合も、ためらわず医師の診察を受けるようにしましょう。


いつもと違う頭痛・危険な頭痛

  • 今までにない強い頭痛
  • 突然の激しい頭痛
  • 痛みが急に強くなる
  • 回を重ねるごとに痛みが徐々に強くなる
  • 発熱を伴う頭痛
  • 手足の痺れがある
  • けいれんを伴う
  • 意識がもうろうとなる

脳疾患と関係のない頭痛の診察を希望される方(1次性頭痛)

1. 片頭痛
2. 緊張型頭痛

画像検査(CT,MRI)で2次性頭痛が除外された頭痛の診断と投薬治療も行っています。

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静和記念病院・健診センターでは、脳ドックが受けられます。 脳ドック ¥26,000

  • 脳MRI・MRA、頸動脈エコー
  • 動脈硬化検査(CAVI・ABI)、眼底検査

脳の健康診断です。クモ膜下出血をきたす前の未破裂脳動脈瘤を診断することができます。また、無症状の脳梗塞(ラクナ梗塞)の程度がわかります。血液検査による、生活習慣病の検査結果、頸動脈エコーによる頸動脈の狭窄の有無を見る事によって、本物の脳梗塞を未然に防ぐ可能性が期待できます。ご希望の方は、予約して下さい。

以上、皆さんと協力して、早期に治せる病気を見つけて治療して、苦痛のない日常生活を送りましょう。

医師紹介
宮坂 佳男(みやさか よしお)
形態 非常勤医師
担当診療科 脳神経外科
経歴 北海道大学医学部卒:昭和46年(1971年)
職歴・研修歴

昭和46年 釧路労災病院 脳神経外科

昭和48年 北里大学 医学部 脳神経外科

昭和55年 スイス チューリッヒ大学 にて研修

昭和55年 国立相模原病院 脳神経外科

昭和59年 北里大学 医学部 脳神経外科 講師

昭和60年 北里大学 医学部 脳神経外科 助教授

平成13年 北里大学 医学部 脳神経外科 教授

平成13年 大和市立病院 脳神経外科 上級医長

平成13年 北里大学 医学部 客員教授

平成14年 大和市立病院 診療部長

平成24年 ライラッククリニック院長(大和市)

資格・免許

昭和55年 日本脳神経外科学会 専門医

平成15年 日本脳卒中学会 専門医

所属学会、資格等

日本脳神経外科学会 評議員

日本脳卒中学会 評議員

日本脳卒中の外科学会

日本認知症学会

日本頭痛学会